臆病者の謳うメメント・モリ

花田西宮の創作だったり日常だったりの一コマ一コマ

二人きりの世界

鍵を捨てた鳥籠。


ドキドキと静かな夜に自分の鼓動がひどくうるさい。流れる不快な汗はぽたりぽたりと上着にまるで自分の中の不安を表すように染みを作る。音を立てずにベッドから降りて一直線に隣の部屋へ向かう。
昔から人付き合いが上手くなかった。ありとあらゆるものを力で征服していた。そんな自分とは反対の優しい彼は、不器用な自分には救いのように思えた。いかないで、いかないで、いかないで。
枕元に立っても彼は起きやしない。それほど信用されていると言うのか…?ベッドに乗り上げればギシリとベッドの軋む音。うっすらと開かれた綺麗なキラキラとした目が自分の目と合う。綺麗な彼の目に映る自分の、いかに酷い姿か。
「ごめん、ごめんなさい」
「ん…どうして謝るの、ハルト」
彼が自分に贈った名に歓喜する。ぎゅっと目を瞑って彼の頬に手を伸ばす。
「どこにも行かないで、イリス…行くな!」
縋るように体重をかけて叫ぶ。頬の手は瞼の上に移動していた。
「ハル…っ」
悲しそうな、悔しそうな目が最後に自分が見た彼の目だった。
彼の目は俺の手中、視界がなければ神といえど勝手にいなくなることはないと思ったから。
鍵は、捨てた。俺は出る気はさらさらないから。

どこにも行って欲しくなくて目を奪ってしまった臆病者と、受け入れる聖者。

旅人知らずの水車小屋と神が呼ぶそこは、普通の者には辿り着けない空間を司る神の作った場所。

“聖王”イリスアテナ(ディアルガ♂)…時間を司る神。どうでもいいといった風に見えて一度首を突っ込んだら最後まで面倒みる。お人好し。目が見えなくても水車小屋の近場なら散歩してる。別に目を取られたことには怒ってないしハルトは手のかかる子供だと思ってる。
征服王”ハルトモニカ(パルキア♂)…空間を司る神。不器用な性格で人付き合いが苦手。故に自分を受け入れてくれるものに依存しやすい。イリスに酷く固執してイリスがいなくなってしまったらという不安からイリスの目を奪う。子供みたいなもの()
本来の名前はアテナとモニカ。イリス、ハルトという部分は互いに贈った名前です。故にハルトはイリス以外にハルトと呼ばれるのを嫌います。イリスはそうでもない()

ホモじゃないです…()
イリスをハルトから引きはがす人というイリスを連れ出す人とかそのせいで発狂したハルトを受け入れる人とかいないかな()
こんなのですよろしくお願いします!