臆病者の謳うメメント・モリ

花田西宮の創作だったり日常だったりの一コマ一コマ

陰日向

勿論ここは陰のほう

緋雪ちゃんが怪我するシチュエーションを考えた()

薄暗い建物の隙間に音もなく緋雪はその身体を滑り込ませる。
緋雪としてはこんな小汚い場所にいるよりかはお風呂に入りたいというのが本音ではあるが、師匠から言い渡されてしまえば仕方ない。仕事と修行は早く終わらせるに限る。
(早く帰って寝よう。明日またエステルさんに会うんだ!)
実力は十二分にある癖に修行に真面目に取り組まない緋雪であるが、本当に些細なきっかけからその技術を駆使してまで一人の人物に夢中である。
それはおそらく犯罪行為に値するのだが、仲間も師匠も一度決めれば猪突猛進な彼女について諦め始めた頃であった。
建物の天井裏に難なく忍び込んだ緋雪は中を伺う。幾人かの男達が何か粉が入った包み紙を受け渡しているらしい。…完全なるクロである。
師匠からの言葉を反芻する。「いいか、オトクイサマの動きが怪しい。調査しに行け。…そうだな、一先ずは調査でいい。だが、明らかにクロ…法を破っているようならわかるな?」
わかります、師匠。心の中で呟いて緋雪は作戦を実行に移すべく素早く動き出した。
ガタンッと派手な音を立てて部屋の真ん中に天井の板が落ちた。男達は突然の出来事に体を硬直させる。板に続いて音もなく緋雪が姿を現す。
「こんなに堂々としてるものなのね。…麻薬売買」
緋雪の言葉に男達は動き出す。それらを緋雪が見逃すはずもなく緋雪の放つ苦無は男達の行動を奪う。
だがしかし、緋雪の腕にも限界はある。取り逃がした男は壁にあった掛け軸に手を伸ばしそれをめくり上げた。
躊躇いもなく男が起爆であろうスイッチを押す直前になんとか被害を最小限に抑えるべく身体を小さくすることが緋雪にできた最大のことであった。

「信じられない!」
どさっと音を立てて緋雪は道の端の目立たない位置に座り込む。
足はもう動かない。悪事がバレた男達がとった行動は建物ごと爆破して緋雪を排除することであった。まんまと逃げられた。
爆風をモロに受けたのは左足らしく特に足首は動いてくれない。木片やらなんやらが飛んできて容赦無く着物と腕を裂いたらしい。とても見れた状態ではない。
どうせ事情はわかっているだろうし緋雪はぼんやりと迎えを待つ。
ざっと足音が聞こえて通行人かと思い息を潜めてやり過ごそうとしたところで緋雪の呼吸が止まる。
通りすがりの意中の人に緋雪は硬直した。

こんな感じでエステルさん怪我した緋雪見つけよ(提案)


その後()

「迎えにきたぞー」
明るい声に顔をあげれば見慣れた少女のような顔がある。
「しかし本当に情けないザマだな」
にこにこと辛辣な評価に緋雪の顔が曇る。
「ごめんなさい、師匠」
緋雪や他の見習いよりも幼く見える少女ではあるが彼女はすでに成人もした立派な大人であり彼女達の師匠の一人でもあった。
「とりあえず緋雪、お前鍛錬追加なー?走り込みだな」
「うえっ!?こ…この身体でですか!?」
「陽牙が随分怒ってたぞ。なんてザマだとな?私も姫路も同意見だしな、少しは真面目になれ」
少女のようにむくれる表情はとても可愛らしい。とても緋雪よりも大人だとは信じられない。駄弁りながらも花房は緋雪を横抱きする。
「…師匠、恥ずかしいです」
「そういえば緋雪」
「無視ですか」
小柄ながらに軽々と緋雪を運ぶ。息切れもせずに会話を続けるその体力はどこから溢れ出るのやら。
「さっきいた奴がお前が恋い慕ってるやつか。…確かエステルといったか?」
「へっしっ師匠見て…!?」
花房は自分の腕で暴れる緋雪に体勢を崩すこともなく愛い奴めと笑っている。
「にしてもあやつそこそこお前のために怒っていたんじゃないのかー?」
様子を思い出して花房は一人頷く。ガタガタ騒ぐ緋雪の耳元で一つ花房が囁けば途端に緋雪は静かになった。
「お前、脈ありではないか?存外お似合いだったと思うぞ?」


お師匠紹介しとこ。
陽牙(オオスバメ♂)…かなり厳しいお父さん()怒鳴り散らすこともしょっちゅうですがたまに見せる優しさに子供達は懐いてる。異性に関してはまったく耐性がなくくっつくことすら出来ないうぶっぷり。

花房(ライボルト♀)…外見ロリ。見習い忍者達よりも幼く見える。明るいが結構ずばずば言うタイプ。〜だぞ口調。外見年齢相応の行動。だがしかし酒豪。24である。

姫路(タブンネ♂)…女顔。忍ではあるが回復や手当が得意な医者。着物を着れば女にしか見えない。花房と二人外見詐欺コンビ。口はいい方ではない。発言はオブラートに包まないです。

こんなやつらですよろしくお願いします!()
こいつらも恋人さん募集しますし忍衆の主人的なのもあれb((

閲覧ありがとうございました!